名刺版写真 若侍と尼 ベアト写真
この写真は様々な意味で興味深いものです。武家の少年が、坊主頭の女性の隣に立っています。タイトルは付いていませんが、フェリーチェ・ベアトが撮影した一連の写真の一つで、「Japanese widow and her son」(「日本の未亡人とその息子」)というタイトルが付けられていたことが知られています。しかし、女性は少年の母親としてはほぼ間違いなく年齢が高すぎるため、タイトルは誤りと思われます。彼女はおそらく少年と血縁関係にあった、あるいは少年の師匠のような役割を担っていた尼僧だったのでしょう。二人が一緒に写っているという事実も、親しい関係を示唆しています。少年はまた、1860年代初頭に日本に駐在した最初の二人の米国駐在公使、タウンゼント・ハリスとロバート・H・プルインの通訳を務めた益田孝(1848-1938)によく似ています。益田氏は後に大成功を収め、三井商事も設立しました。もしこの写真が1863年頃に撮られたものであれば、益田である可能性は十分にありますが、1868年頃に撮られたものであれば、写真に写っている少年は益田というには少し幼すぎるかもしれません。それでも、興味深い可能性ではあります。
横浜であろう。フェリックス・ベアト。1865年頃。
8.7 x 5.4糎。
良好。経年の傷みほとんどありません。
p37021806